調査報告について / REPORT

平成25年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、前回調査の5月時点に比べ、「悪い」と回答する企業数はあまり変化がないものの、「どちらともいえない」と回答した企業数が減少、「やや良い」と回答する企業数が増加した結果、全体のDIは改善した。また、先行きに関しても、ほぼ横ばいの予想をする企業が多く、3か月前に比較すると、タオル業界を取り巻く景況感は、全体としては厳しいものの、若干の改善傾向が窺える。
 一方で、多くの企業で、急速な円安による海外品の仕入単価の上昇、輸入綿糸高、洗工場でのコスト高を背景とした国内タオル仕入価格のじり高傾向を反映し、仕入価格が「上昇した」と判断している半面、ほとんどの企業で、弱含む需要を背景に、販売価格に転嫁することは困難である、と回答しており、結果、採算面での悪化が改善されておらず、業況判断においては、「悪い」との判断をする企業が依然として大勢を占めている。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が21%に上るが、前回5月調査時点に比べると減少しており、全体としては、流通段階のだぶつき感は徐々に改善傾向がみられている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、現在においては、一部の企業が「やや良い」と判断しているものの、多くの会員企業が「やや悪い」「悪い」をマークしており、全体的に見れば、-0.57 と「良い」「悪い」が均等になる 0 を大きく下回っている状態が持続している。
 一方で、前回5月調査時点と比較すると、「やや良い」と答える企業数が増加していることを受けて、下記の計算式で算出した全体の業況判断DIは、5月調査の-0.78(2月調査時点 -0.69)に比べ、改善傾向が窺える。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

全体として厳しい見方が多い主な理由は、以下の要因が挙げられる。

  1. 販売面では、自民党政権のアベノミクスによる景気刺激策に対する期待は高まるものの、株や高額商品が売れている半面、日用品に属するタオル製品に対する需要は相変わらず厳しいものがあり、商況は今一つの状態を持続している。こうした流れを受け、スポット的な別注の規模が小さくなる傾向にあることも悪化の一因になっているとの指摘もある。
    また、販売価格に関しても、需要弱含みの中、顧客の価格へのこだわりもシビアで、仕入れ価格上昇の価格転嫁が進まない状況である。

  2. 一方で、仕入面においては、12月以降進んでいた急激な円安の影響で、海外からの輸入製品の仕入単価が円建てで大幅に上昇しているほか、輸入綿糸高により国内商品の単価もじり高、原油高を背景に洗工場の工賃アップ、石化製付属品の値上げなど、多方面で仕入価格アップが進んでいる現状である。こうした情勢下、上記のように、コストアップを販売価格に転嫁していくことは困難な情勢が持続、結果、採算が悪化していく傾向となっており、業況判断DIが水面下を持続する主因となっている。
    また、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.57 と、現状と横ばいの予想となっている。
    前回5月の調査時点では、3か月先の業況判断DIは -0.93 と、足許に比較して悪化するとみている企業が多く見られたが、現下、アベノミクスの一定の効果が経済指標に表れている中、景気全体は徐々に回復していくとみる先も散見されるようになり、先行きについては、前回調査に比べて若干の回復感が窺える結果となった。

業況判断DI

Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業が全体の21%、「どちらともいえない」が全体の36% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が43% となっている。5月調査時点では、「良い」「やや良い」と判断する企業はなかったので、販売地合いは少しずつ好転しているということができる。
 主な要因として、7月半ばの梅雨空け以降、全国各地で猛暑が持続したことから、百貨店、チェーンストアにおいては夏もの衣料等盛夏ものの販売地合いが好調で、この影響から、業況判断を好転させている企業もみられていると思われる。一方、社会全体では、輸出関連産業型の大企業中心に円安による好影響が出ているものの、GDPの70%近くを占めている消費全体でみると、景気拡大効果は、まだ限定的に表れているに過ぎない状況となっているのが実情である。
 販売価格に関する質問では、「上昇した」「下降した」を選ぶ企業は僅少で、殆どの先で「変化なし」を選択している。仕入価格の上昇に対して、価格転嫁は進んでいないとみられる。
 一方で、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業が僅少な半面、半分程度の企業で前月に比べて「上昇した」、残りの企業で「変化なし」との判断となっている。円安による海外仕入商品の値上がりは円相場の水準安定で一服している半面、国内製造のタオルにおいては、原料輸入綿糸の値上がりに加え、電力料金の値上がりなどを背景とする精錬工程での値上がり等を理由に、仕入単価が徐々に上がる傾向となっている。また、原油高の影響を受けて、石化製品の値上がり等から副資材が単価アップになることも散見されている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の79%、「過剰」と答えた先が21%となっている。全体としては、流通段階では、ややだぶつき感の見られる動向となっているが、前回5月調査時点では、「過剰」と答える企業が50%に上っていたことを考えると、流通段階での在庫もたつき感は改善されていると思われる。
 前回5月調査時点では、低調な販売動向や仕入価格の上昇を背景に、在庫動向も前々回2月調査に比べ「過剰」と答える企業が増加する結果となっていたが、猛暑による夏もの商品の出荷増を背景に、多くの企業で在庫回転率が改善する方向に向かっていると思われる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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