調査報告について / REPORT

平成26年8月実施実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、4月1日の消費税率引き上げ後の売上の反動減の持続や、夏の間の天候不順による小売店での販売不振を反映し、消費税率引き上げ直後で、大幅に景況判断の悪化した前回調査5月時点に比べ、少し持ち直し傾向は窺えるものの、全体のDIは -0.57と依然大きくマイナスに割り込む水準となっている。
 一方で、先行きに関しては、全体としては、先行きの日本全体の消費動向は堅調に推移するとの明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」については、-0.07と大きく改善している結果となっている。
 販売動向に関しては、足許、消費税率引き上げ後の需要後退の影響持続などから、57%の企業で「やや悪い」「悪い」をマークしている現状。
 この間、徐々に進展しつつある円安傾向の持続や、エネルギーコストのアップや、人件費のコスト高を背景とした国内外タオル仕入価格のじり高傾向などを反映し、仕入価格が前月より「上昇した」と判断している企業は全体の36%に上るが、これは前回5月調査時点と比較して、ほぼ同じ傾向となっている。
 一方で、販売価格に関しては、4月の消費税率引き上げの消費に与える影響が注目される中、過半の企業では、販売単価を据え置いている傾向が窺われる一方、低迷する販売地合いの中、29%の企業で「下落した」を選んでおり、仕入価格上昇を販売価格に転嫁する動きは目先ピークアウトしている傾向が窺われる。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が57%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している傾向がみられている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、今回は「良い」と判断した企業はない一方で、「やや良い」と判断している企業は少し増加したほか、「悪い」と答えた企業が減少しているなど、少し持ち直し傾向が窺えるものの、全体の過半の57%の企業が「やや悪い」をマークしているなど、依然厳しい状態が持続している。
 その結果、業況判断DIは - 0.57と、前回5月調査の - 0.71 に比べて改善傾向は見られるものの、引き続き大きく水面下の状況となっている。
 前回調査5月時点は、4月1日の3%の消費税率アップ実施後すぐの時期の調査であり、駆け込み需要の反動減がみられる地合いであったことを考えると、税率アップから3か月経つにもかかわらず、なかなか景況感が改善してこないという側面を窺うことができる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

今回厳しい見方が多かった主な理由としては、上記のような消費税率のアップによる販売動向の停滞という直接的な要因以外に、以下の要因が指摘されている。

  1. 販売面では、夏以降週末ごとに来襲した台風や大雨の影響から、小売店への客の入込みが減少している傾向があるほか、今夏は、予想外に晴天が少なく気温の上がり方の緩慢な涼しい夏となるなど、「天候の不順が消費動向に悪影響を及ぼしている」との指摘も聞かれるところである。
    また、仕入面では、「円安が徐々に進展していることが輸入コストアップにつながっている」「人件費やエネルギーコストアップなど、国内外での製造面でのコストアップが持続している」など、引き続き強い仕入れコスト上昇圧力が、景況感を下押ししている要因となっていると思われる。

  2. 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.07 と、現状の -0.57 に比べて 大きく改善していくとの見方が主流となっている。
    こうした見方の根底には、今回の消費税率アップの影響が概ね想定内であったことに加え、日本全体の消費局面は、消費税率アップの中ではあるが、引き続き堅調に拡大していくとの見方に、多くの企業が自信を持っていることの表れであると考えられる。

業況判断DI

Q.販売、仕入動向に関する質問
会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業がなく、「どちらともいえない」が全体の43% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が57% となっている。5月調査時点との比較では、「やや良い」と回答していた企業がなくなった一方で、「悪い」と回答していた企業もなくなり、「どちらともいえない」「やや悪い」に回答が集中した結果となった。
消費増税の反動の影響が予想以上に持続しているとの実感や、天候不順の影響で販売地合いが弱いことなどが原因と思われる。

 一方で、販売価格に関する質問では、今回調査では、64%の企業が「変化なし」と回答している。この1年をみると、昨年11月調査時点では、46%の会員企業が前月に比べ「上昇した」を選び、また2月調査においても29%の会員企業が「上昇した」をマークするなど、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁する流れが持続していたが、前回5月調査時点では86%の企業が「変化なし」と回答するなど、仕入れコストアップの販売価格への価格転嫁の動きは、ある程度の到達領域に達していると判断されていた。
 今回調査では、「変化なし」と回答する企業が過半乍ら、29%の企業が「下落した」と回答するなど、販売価格動向もピークアウトしている側面が見え隠れしており、販売地合いの不透明感が販売価格に悪影響を及ぼしている側面もみられ始めてきている。
 また、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業が現れてきている半面、36%の企業で前月に比べて「上昇した」、57%の企業で「変化なし」との判断となっているなど、仕入価格の上昇圧力は引き続き高いことが窺われる。
 この調査結果は、前回5月調査における結果と、おおむね同じ傾向をたどっており、販売価格に関しては引き上げが進まないものの、仕入コストの上昇圧力が強く、結果、業況判断に関しても、厳しい結果が続いていると思われる。
 仕入価格の上昇要因を分析すると、円安による海外仕入商品の値上がりについては、再度円相場が円安方向に徐々に進んでいることが不安視されているほか、国内製造、海外製造のタオルを問わず、エネルギーコストの上昇、人件費の上昇などが顕在化する中、タオル製品の仕入単価が徐々に上がる傾向となっている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の43%、「過剰」と答えた先が57%となっている。
 全体としては、流通段階では、ややだぶつき感の見られる動向となっているが、前々回、前回調査での「過剰」との判断先はそれぞれ38%、43%と増加傾向であることを考えると、ここ数か月では在庫の回転率上昇感は感じられず、やや過剰の状態が持続している傾向が窺われる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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