調査報告について / REPORT

平成27年2月実施実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、4月1日の消費税率引き上げ後、実質可処分所得が減少している流れを背景に、アベノミクスによる消費拡大効果が高額品など一部にとどまる環境下、前回調査11月時点に比べ、若干の持ち直し傾向は窺えるものの、全体のDIは -0.67と依然大きくマイナスに割り込む水準となっている。
 一方で、先行きに関しては、円安や株高の恩恵を受ける大企業でのベースアップや一時金支給額アップなどの好影響が夏前あたりには徐々に出てくるであろう、として、明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」については、-0.33と足許より大きく改善している結果となっている。
 販売動向に関しては、足許、厳しいと判断する企業が大半で、53%の企業で「やや悪い」「悪い」をマークしており、不芳な状況が持続しているのが現状。
 この間、円安傾向の定着や、為替予約の残高減少などから、輸入仕入価格が足許さらに上昇していると考えている企業も33%に上り、前月との仕入価格の比較においては、やや一服感が窺われるものの、仕入価格は引き続き上昇局面にあると判断されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、消費需要自体が低迷する中、仕入価格の上昇を転嫁することが更なる販売数量の低下につながるとして販売価格の引上げを諦める傾向もあり、前月に比べて「上昇した」とする企業がない一方で、多くの企業が「変わらない」「下降した」を選ぶなど、全体としては、デフレ傾向を示す結果となった。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が40%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続しているものの、輸入仕入価格のアップを受けた仕入数量の減少が在庫回転率の向上に結びついている傾向もあり、全体としては、前回11月調査に比べて「適正」水準と考える企業が増加している側面も見られている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」の結果を見ると、今回調査では - 0.67 という低水準の結果となった。今回も「良い」と判断した企業はなく、「やや良い」と判断している企業も少数であるなか、「やや悪い」「悪い」と答えた企業が全体の過半の60%を占めているなど、前月の - 0.69 に比較して若干の改善をみたものの、引き続き厳しい状態が持続している。
 4月1日の3%の消費税率アップ実施後かなり時間がたっており、駆け込み需要の反動減等も薄れているわけだが、実質可処分所得の後退感は国民全体に行き渡っており、なかなか景況感が改善してこないという側面を窺うことができる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 今回厳しい見方が多かった主な理由をより具体的に見ていくと、以下の要因が指摘されている。

 販売面では、「株高、円安などのアベノミクス効果から高所得層においての景気浮揚感は高く、百貨店でも高額商品や宝飾品などが販売好調である一方で、中間層以下の国民の多くは、実質可処分所得減少に直面して、財布の紐がきゅっと締まってきている感じ」との環境下、「実用品のイメージの強いタオルは、布団類などと同じように購買意欲が薄れてきている印象は否めない」との声が多く、小売店などにおいても販売は低調に推移しているなど、消費目的による爬行性がみられている。
 一方で、9月の日銀による異次元の金融緩和から円がドルに対して大幅に値下がりしており、タオル消費全体の8割を占める輸入タオルの仕入値アップが顕在化、これを「小売販売価格に転嫁していかざるを得なかったところ、店頭での販売点数が大きく減ってしまい、販売低調に拍車をかけたため、値上げを諦めざるを得なくなっている」など、コストアップが販売数に悪影響を及ぼす点も指摘されている。
 円安トレンドに関しては、「今後円相場がどちらに動くか予測しがたい」などと、コストが不安定なことが、業況判断に対して、悪い方向に作用していることも指摘されるべきである。

 また、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.33 と、現状の -0.67 に比べて大きく改善していくとの見方が主流となっている。
 こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安の効果として、目先大企業のベースアップや一時金支給額アップなどが予想され、その効果として、消費が刺激を受けて夏前より改善方向に向かうであろうとの判断も見られ、景気が拡大局面であることに対して、多くの企業が自信を持っている表れであろうと考えられる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業は全体の7% と少数であり、「どちらともいえない」が全体の40% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が53% となっている。11月調査時点との比較では、「やや悪い」と答えた企業の一部が「どちらともいえない」に若干改善修正した一方、「悪い」と回答した企業も増加しており、企業間の差が少し深まったといえる。全体としては、11月調査とほぼ同じ程度の判断となっている。
 「定番の追加注文は少ないが、特価の要請にこたえて 何とか売上を維持している」「仕入れコストを販売価格に転嫁したところ、出荷数量が減少したため、値上げを諦めた」など、消費マインドは引き続き厳しいという判断が大きな流れである。

 一方で、販売価格に関する質問では、今回調査では、80%の企業が「変化なし」と回答している。昨年11月調査時点との比較では、「下落した」と答えた企業数が増加しており、20%に達している。今回も「上昇した」と答えた企業はなかった。通常定番の動きが鈍く、特価要請にこたえざるを得ない流れが窺われるところである。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では、一部で「下降した」と判断する企業が現れてきているが、33%の企業で前月に比べて「上昇した」、60%の企業で「変化なし」との判断となっている。前回11月調査では、「上昇した」と回答する企業が全体の69%を占めていたことを考えると、一方的な上昇感には一服の兆しも見られるものの、仕入価格の上昇圧力は引き続き高いことが窺われる。

 円安による輸入品のコストアップを主因とする仕入価格の上昇は、円安局面の定着を背景に、為替予約の残高減少などもあって引き続き圧力が強いと思われる一方で、全体的には 不芳な販売商戦の中、販売価格への転嫁が困難であるという業界の現状が窺われる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の60%、「過剰」と答えた先が40%となっている。
 全体としては、仕入コストが上がる中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業が多く、その結果、在庫「過剰感」のある企業が少し減り、在庫は適正化の方向に向かっていると判断できる。しかし、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階での、だぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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