調査報告について / REPORT

平成28年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、足許堅調な販売動向や、円高の進行による輸入コストダウン傾向から利幅の改善が予想されることなどを反映する形で、全体のDIは -0.29と、前回2月調査時点での -0.60に比べ、大幅に改善する結果となった。
 一方で、先行きに関しては、「年初来持続している株安、円高、熊本での震災の影響など、消費を取り巻く不透明要素が増加している」との見方から、3カ月後の「業況判断DI」は -0.21 と、足許よりも若干改善するとみているものの、前回調査時点の+0.13に比べては、慎重な見方をする企業が増加しているといえる。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が20%程度存在する一方で、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が50%程度に上るなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しているものの、全体としては厳しい見方が持続している。その中にあって、「悪い」と答える企業の多くが「やや悪い」に判断を上方修正しており、前回2月調査時点に比べ、若干改善傾向がみられると判断できる。
 この間、足許円高方向に振れていることからドル建て輸入コストが徐々に下がっていることを背景に、14%の企業が前月に比べて仕入価格は下落していると考えているなど、仕入価格は徐々に低下局面に入ったとの見方ができる模様。
 一方で、販売価格に関しては、すべての企業で「変化なし」と回答しており、このところ、景気回復の実感が強まる中でみられた仕入価格のアップを販売価格に転嫁する動きも踊り場状態を迎えているといえる。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答える企業がない半面、「過剰」と答えた先が36%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
このところ、昨年2月調査で -0.69と消費税導入後ボトムを迎えたのち、昨年8月調査時点での -0.29、同11月調査時点の -0.13 と月を追うごとに好転してきた業況判断DIであるが、前回2月調査においては、一転 -0.60 と大幅に悪化する結果となった。
こうした変化の理由は、「国内GDP指数など景気指標の下振れを示す材料が多く見られ、消費マインドも冷えてきている」など、足許経済情勢の不透明感が経営判断に悪影響を及ぼしていることが考えられるなど、「増勢を期待していた販売環境が、足許意外に厳しい状態が持続している」ことが経営マインド悪化につながったと思われる。
それから3ヶ月経った 5月実施の今回調査では、- 0.29と2月時点での - 0.60に比べて大きく改善する結果となった。前回判断に比べた場合、「良い」、「やや良い」と判断する先の比率が 7% から29% に改善していることや、「悪い」と判断していた企業が「やや悪い」に判断を上方修正させたことなどの点が指摘できる。
大きな流れでは、基本的な景気や消費に対する見通しは変わらないと思われるが、目先需要期に入った当業界での売上高が、国内製の高付加価値商品を中心に堅調に推移していること、春先以降円高が進み、足許の輸入仕入コストが徐々に下落基調にあることが、好感されているものと思われる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.21と、足許の判断 - 0.29 に比べては改善傾向にあるとはいえ、前回2月調査(+0.13)に比べ、先行き慎重な判断になってきていることが、今回調査の特徴として指摘できると思われる。
 こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安傾向が、年初以降の動きとして株安、円高方向へ変化してきており、今後の日本全体の景気動向への不透明感が高まっていることに加え、熊本地震の消費経済に与える影響が不透明であるということが、企業の業況判断を慎重にさせている理由となっていると思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の20%前後となっており、前回2月調査時点とほぼ同じ結果となっている。
 一方で、2月調査では「やや悪い」「悪い」と答える企業は 47% であったが、今回調査ではほぼ同様の結果ながら、そのうち「悪い」と考える企業は前回の 27% から 7% に減少、多くの企業が「悪い」から「やや悪い」という判断に上方修正している結果となっており、全体としては少し改善傾向がみられると判断している。
 会員企業では、「世間で言われているような外国人観光客によるインバウンド消費による増収は全くない」、「株安、円高、震災など消費マインドを取り巻く環境は不透明」という指摘があるなど、販売動向に関しても慎重な見方が多いという基本的な流れは変わらないが、「タオルの需要期を迎え、思いのほか足許は堅調な売り上げ」、「付加価値の高い国産品など、品質の良い商品が好調な流れは持続している」などプラスの見方も多く、全体としては厳しいとの判断ながら、若干の改善がみられている模様。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、すべての企業で「変化なし」と判断している。
 年初以降、長く続いた円安傾向に歯止めがかかり、比較的円高方向に移行している為、一部の先で「長い間かけて円安による仕入コストアップ分をようやく価格転嫁してくることができたのに、その流れに水を差す結果となることが心配」との懸念を持つ先があるものの、目下のところは、概ね販売価格は維持されているという結果となっている。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では14%の企業が前月に比べて「下降した」、79%の企業が「変化なし」、7%の企業が「上昇した」と回答している。今回調査では仕入れ価格の上昇圧力はあまりなく、むしろ、円高による輸入コストダウンなどで、仕入価格は低下方向に動く企業の数が増加する傾向となっている。なお、6月入り後も円高は持続している為、この傾向は当面持続するのではないかと推察される。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の64%、「過剰」と答えた先が36%となっている。
 大きな時系列で見ると、長い間の比較円安傾向で輸入仕入コストが上昇してきた中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業がみられるものの、徐々に比率は低下してきているとはいえ、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階でのだぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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