調査報告について / REPORT

平成30年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.78 と、直前11月調査時点に比べて大幅に悪化した前回調査(-0.85)の地合いが持続しており、非常に厳しい水準の判断となった。
 一方で、先行きに関しても、足許の厳しい判断状況に鑑み、「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」などの声を反映する形で「業況判断DI」は -0.50 と、前回調査時点(-0.62)と比較して、やや改善しているとはいえ、引き続き厳しい状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が増加したが、逆に「悪い」と答える先も増加しており、前回調査時点に比べて、好悪入り交じる結果となり、横ばい圏内で推移している。全体としては、大変厳しい販売地合いが続いているとの判断が多数を占めている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、全体の4割弱の先が「上昇した」と判断しており、全体としては上昇基調に入っていると思われる。大きな要因としては、人手不足に因る運賃や加工賃等の上昇や、原料綿花相場の高止まり、中国の元高によるドル建て輸出価格の引き上げなどが指摘されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、9割を越える先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が半数に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、ここ半年の調査結果では、昨年11月調査で「やや良い」と判断する企業数が増加したことを受けて-0.23と大きくDIは改善する結果となっていたものの(この水準は平成27年11月に記録した -0.13以来の2年ぶりの高水準)、前回2月調査では、「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「一部インバウンド需要のみられる化粧品、宝飾品を除いてみると、食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振に加え、人手不足に因る運賃、加工賃が上昇、さらに原料綿花価格の高騰から徐々に仕入れコストが上がっていることも反映したかたちで、「良い」「やや良い」と答える先がなくなったこと受け、-0.85と大きく落ち込む結果となっていた。
 今回5月調査では、「高額商品の動きは悪いが、特価商品の動きは活発」との見方から、「やや良い」と応える先が微増したことを受け、-0.78 と若干改善したものの、依然極めて厳しい判断をする先が多くなっている。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 全体としては、可処分所得の伸び悩みを背景に消費全体が低迷しており、そのトレンドを反映して「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「一部インバウンド需要のみられる化粧品、宝飾品を除いてみると、食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振が持続している傾向に変わりはないうえ、
 利益面を注視して、「人手不足の影響から運賃や加工賃の上昇に歯止めがかからない」一方で、「販売単価が上がるような要因がない」ことから利鞘が圧迫されて繰り回しが厳しくなっているとの指摘も見られるところである。
 また、国産タオル製品も「市場での行き渡り感から別注品の引き合いが減少している」などの指摘も一部では見られている。

 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、大きな流れでは、この傾向が持続しているといえる。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 11月12月1月2月3月4月
全国百貨店売上高合計2.2-0.6-1.2-0.90.10.7
「その他家庭用品」分野-2.6-5.6-9.3-5.6-7.5-4.6
全国チェーンストア売上高合計-0.60.90.61.3-0.1-1.2
「住関品 日用雑貨品」分野-4.9-3.5-3.6-1.8-0.8-3.4
「住関品 家具インテリア」分野-0.73.33.70.5-2.92.7

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについても、足許の判断よりは回復したものの -0.50と、前回2月調査(-0.65)に比べてやや改善をみた程度の水準に留まっている。これは、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が61%に達した前回調査に比べて、今回は「悪い」と回答する先がなくなったことのほか、「やや良い」「どちらともいえない」と答える先が50%になるなどの判断を反映したもので、先行きに関して、足許の判断よりも改善するとの見方を示す企業数がやや増加している傾向が窺われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
会員企業では、足許の販売状況は、「悪い」「やや悪い」と判断する先が85%を占めるなど、大幅に悪化した結果となった前回2月調査と比べて横ばい圏内の動きとなっている。
前回調査では皆無であった「やや良い」と答えた先が7%に増加した一方で、前回8%の先が選択した「悪い」という判断に関しては今回調査では21%の先が回答しているなど、好悪入り交じる結果となっている。
会員企業では、「今治産地の商品も出回りすぎて別注品中心に引き合いが少なくなっている」などの声も聞かれるほか、「チェーンストアの不振が長引き、店頭ではセール品のみが動いて、定番商品は販売が大幅に落ち込んでいる」などの指摘も聞かれるところである。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回同様「下降した」と答える企業がない一方、今回調査では36%の先が「上昇した」と判断しているが、これは前回2月調査時点(23%)に比較すると上昇基調にあるといえる。こうした判断の根拠としては、人手不足に因る運賃や各種製造加工賃の値上げに加え、原料綿花価格が大きく上昇していること、また中国においては元高から輸出ドル値が値上がり、また円ドルレートにおいても、日米の金利差の拡大から円安傾向が予想されるなど、輸入コストが上昇する方向であるが背景にあると思われる。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、「下降した」と判断する先はなくなった一方、7%の先が「上昇した」と判断しているが、93%の先では「変化なし」と答えていることから、「全体としてはあまり変化がみられない」とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 50% 、「過剰」と答えた先が 50%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が依然として多い傾向が持続している。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は少し減っている(前回調査では54%)が、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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