調査報告について / REPORT

平成30年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.6と、2月調査(-0.85)、5月調査(-0.78)に比べて改善傾向が見られるものの、依然として非常に厳しい水準の判断が持続。
 一方で、先行きに関しても、足許の厳しい判断状況に鑑み、「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」などの声を反映する形で「業況判断DI」は -0.6 と、前回調査時点(-0.5)と比較して少し改善されたとはいえ、引き続き厳しい状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや悪い」「悪い」と答える先が全体の73%に上っており、前回5月調査時点(80%)に比べては若干改善傾向にあるものの、全体としては、大変厳しい販売地合いが続いているとの判断が多数を占めている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、全体の33%の先が「上昇した」と判断しており、全体としては上昇基調が続いている。大きな要因としては、人手不足に因る運賃や加工賃等の上昇や、原料綿花相場の高止まり、日米金利差拡大による円安傾向などが指摘されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、一部先では強弱入り乱れているが、7割弱の先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。
 この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が半数に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、本年2月調査時点で記録した-0.85をボトムに徐々に判断は改善してきているが、概ね大幅なマイナス圏での動きとなっており、各社の判断は引き続き大変厳しい状況が持続している。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、大きな流れではこの傾向が持続しているといえる。

 また足許については、6月中旬に近畿地方を襲った大阪北部地震、2週間後の西日本大豪雨などの自然災害の発生により、小売店への入り込み客数数が減少したことなどを背景に、タオル以外の全カテゴリーにおいても、一部商品を除いては極めて厳しい消費販売動向が続いている。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 2月3月4月5月6月7月
全国百貨店売上高合計-0.90.10.7-2.03.1-6.1
「その他家庭用品」分野-5.6-7.5-4.6-4.5-3.3-10.8
全国チェーンストア売上高合計1.3-0.1-1.2-2.30.11.5
「住関品 日用雑貨品」分野-1.8-0.8-3.4-8.9-2.6-1.9
「住関品 家具インテリア」分野0.5-2.92.71.80.12.4

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

こうした中、国際綿花相場の高騰等によりタオルの仕入価格は引き続き上昇傾向にあるが、今回調査では一部先において、販売価格に転嫁できる動きも見られており、こうした点において、悪い状態が続く中にも、業況判断を改善させる先も見られているところである。結果、今回8月調査では、業況判断DIは -0.6 と前回(-0.78)、前々回(-0.85)に比較すると改善しつつある流れとなっている。

一方で、3か月先の業況に関する判断DIについても、先行きの判断は-0.60と、前回2月調査(-0.5)に比べてやや後退している。これは、7%の先が「やや良い」と判断していた前回調査に比べて、今回は「良い」「やや良い」と回答する先がなくなったほか、「やや悪い」「悪い」と答える先が53%になるなどの判断を反映したもので、先行きに関しても、厳しい状態が続いていくと考える先が多いことを表していると言える。因みに今回8月調査実施時期以降の9月上旬に近畿地方を大型台風が直撃、関西空港の一時閉鎖など、各地で大きな被害が出ることとなっており、この点は次回調査以降も下振れ要因として見逃すことができない状況となっている。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「悪い」「やや悪い」と判断する先が80%であった5月調査に比べて、今回調査では73%と、若干の改善を見ているなど、大幅悪化の底値圏の動きであった2月調査、5月調査に比べて若干改善の兆しが見えてきている。
 前回5月調査では20%の先が「悪い」と回答したが、今回は「悪い」と判断する先がなくなった反面、前回7%の先が答えた「やや良い」との判断をする先もなくなっており、「ネット販売に負けつつある衣料専門店の販売不振の継続」や「天候不順による入り込み客数の減少」などを背景に、大半の先で「やや悪い」と答えるなど、販売状況にも明るい材料があまりみられない状態であるといえる。
 会員企業では、「消費者のギフト商品離れは相変わらずで市場が回復する兆しが見えない」などの声も聞かれるほか、「チェーンストアでは、天候不順による客数の減少もさることながら、客単価も下がっているなど、掛け算で非常に厳しい環境が持続」などの指摘も聞かれるところである。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、一部の先で「下降した」と答える先がある一方、今回調査では33%の先が「上昇した」と判断しており、全体としては引き続き上昇基調にあるといえる。こうした判断の根拠としては、人手不足に因る運賃や各種製造加工賃の値上げに加え、原料綿花価格が上昇していること、また円ドルレートにおいても、日米の金利差の拡大から円安傾向が予想されるなど、輸入コストが上昇する方向であることが背景にあると思われる。さらに、米中の貿易摩擦の激化が国際経済や各種国際価格に上昇圧力を与えるのではないかと先行きを懸念する声も聞かれるところ。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、13%の先で「上昇した」と答えている一方、20%の先で「下降した」と答えているなど、会員企業間で強弱入り乱れる判断となっている。この間、67%の先では「変わらない」と答えており、「全体としてはあまり変化がみられない」とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 47% 、「過剰」と答えた先が 53%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が依然として多い傾向が持続している。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は少し増加(前回調査では50%)していることもあり、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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