調査報告について / REPORT

平成28年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、足許景気の不透明感を反映する形で、全体のDIは -0.60と、前々回8月調査時点での -0.29、前回11月調査時点での -0.13と着実に改善トレンドとなってきていた流れが一転し、今回大きく悪化する結果となった。
 一方で、先行きに関しては、引き続き明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」は +0.13と、前回11月調査に続いて水面上に浮かび上がる結果となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が20%存在する一方で、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が47%に上るなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しているものの、全体としては悪化する方向となっている。
 この間、足許円高方向に振れていることや、原料綿糸価格の低下を主因にドル建て輸入コストが徐々に下がっていることを背景に、仕入価格はさらに上昇していると考えている企業はなくなり、20%の企業が前月に比べて仕入価格は下落していると考えているなど、仕入価格は低下局面に入ったとの見方ができる模様。
 一方で、販売価格に関しては、「上昇した」と判断する企業がなくなる一方で、円高を背景に「値下げの打診があった」として「下降した」を選ぶ企業も現れており、このところ、全体景気回復の実感が強まる中でみられた仕入価格のアップを販売価格に転嫁する動きも踊り場状態を迎えているといえる。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答える企業がない半面、「過剰」と答えた先が40%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 このところ、昨年2月調査で -0.69と消費税導入後ボトムを迎えたのち、昨年8月調査時点での -0.29、前回11月調査時点の -0.13 と月を追うごとに好転してきた業況判断DIであるが、今回2月調査においては、一転 -0.60 と大幅に悪化する結果となった。
 これは、前回調査で皆無であった「悪い」と判断する企業が20%程度みられていることや、「やや悪い」と答える企業が33%に上り、かなりの企業が景気後退感を実感していることの表れであると考えられる。
 こうした流れは「国内GDP指数など景気指標の下振れを示す材料が多く見られ、消費マインドも冷えてきている」など、足許経済情勢の不透明感が経営判断に悪影響を及ぼしていることが主因と考えられるほか、「このところ進展している円高であるが、早速一部顧客から輸入品の単価ダウンを要求されている」など、販売価格に関しても「下降した」と判断する企業があるなど、「増勢を期待していた販売環境が、足許意外に厳しい状態が持続している」ことが経営マインド悪化につながったと判断することができる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては +0.13 と、11月調査に続いて水面上に上がった結果。これは、「悪い」と答える企業がない一方、「良い」「やや良い」と答える企業が全体の 20%を占めるなど、足許の判断に比べ、大きく改善するとした判断となっている。

 こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安の効果として、目先大企業のベースアップや一時金支給額アップなどもあり、その効果として、消費が刺激を受けて改善方向に向かうであろうとの判断も見られ、景気が拡大局面であることに対して、引き続き多くの企業が自信を持っている表れであろうと考えられる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の20% と、前回11月調査時点と比較して同様の結果となっている。
 一方で、11月調査では「やや悪い」「悪い」と答える企業は33%であったが、今回調査では47%と大きく増加、そのうち「悪い」と考える企業は27%に上るなど、前回調査時点に比べては厳しい結果となっている。
 会員企業では、「付加価値の高い国産品など、品質の良い商品が好調」な流れは持続しているとの判断がある一方、「世間で言われているような外国人観光客によるインバウンド消費による増収は全くない」、「足許暖冬の流れの中、冬物重衣料や寝装品が不振であることもそうだが、消費税増税後の実質可処分所得の減少などから消費者の財布の紐は予想以上に堅い」など、意外に消費が盛り上がらない現状の中、厳しい判断をする企業が増加している。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、前回調査では、前月に比べて「下降した」とする企業がなくなり、「上昇した」とする企業が13%を占めるなど、販売価格が上昇に転じる動きがみられていた。しかしながら、3カ月後の今回調査では、「下降した」と答える企業が再度現れる一方で、「上昇した」と判断する企業はなくなるなど、販売価格は「下降気味」であるとしている。
 これは、このところの円高の動きが、顧客からの輸入品の価格引き下げ要求に現れている、という指摘があるなど、長い間続いていたトレンドとしての円安を販売価格に転嫁しようとする流れに水を差すような結果を惹起したおり、円高で損益的には若干の回復感があるものの、足許消費低迷の中、顧客の価格選考には厳しさが増した状態であるといえよう。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では20%の企業が前月に比べて「下降した」、80%の企業が「変化なし」と答えている。前回調査では、「上昇する」と答える企業が13%あったが、今回調査では仕入れ価格の上昇圧力は全くなく、むしろ、円高による輸入コストダウンなどで、仕入価格は低下方向に動く企業の数が増加する傾向となっている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の60%、「過剰」と答えた先が40%となっている。
 全体としては、トレンドとして輸入仕入コストが円安で上昇する中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業がみられるものの、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階での、だぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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