調査報告について / REPORT

平成28年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、足許販売動向は堅調ながら、円高傾向の定着から販売価格の値下げ要請があることなどを反映する形で、全体のDIは -0.44と、前回5月調査時点での -0.29に比べ後退する結果となった。  一方で、先行きに関しては、「国内製造タオルの好調は持続している」「円高傾向も定着し一時より輸入仕入価格が相対的に下がっている」ことなどから「業況判断DI」は -0.19 と、足許よりも改善するとみている先が大勢となっている。  販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が前回の20%程度から25%程度の増加、また「悪い」「やや悪い」と判断する企業が44%と前回の50%程度よりも減少するなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しているものの、全体としては若干改善傾向がみられると判断できる。  この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、円高傾向の1ドル100円~105円近辺での安定傾向から大半の先で「変化なし」と回答している一方、13%の企業が前月に比べて仕入価格は下落していると考えている。一方で、国際綿花市況の上昇などを背景に一部先で仕入価格は徐々に上昇していると判断しており、今後の仕入価格に関しては、「予断を許さない」と警戒する向きも多く見られている。  一方で、販売価格に関しては、多くの先で「変化なし」と回答しているが、「円高による値下げ圧力が増している」として、13%の先で「下落した」と判断するなど、今後の動向に注意を払う必要があると思われる。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が37%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 このところ、昨年2月調査で - 0.69 と消費税導入後の二番底を迎えたのち、月を追うごとに好転してきた業況判断DIであるが、今年2月調査においては、一転 - 0.60 と大幅に悪化する結果となった。その後、5月調査では、売上高が国内製の高付加価値商品を中心に堅調に推移していること、春先以降円高が進み足許の輸入仕入コストが徐々に下落基調にあることが好感されていることなどから、業況判断DIは - 0.29 と再度改善方向に向かってきていた。
 しかしながら、今回8月調査では、「為替円高の定着化で販売先からの値下げ圧力がある」「社会全体にもデフレ傾向が持続しており、消費者の価格性向も厳しくなってきている」ことなどを反映して、全体では -0.44 と足許悪化する結果となった。
 その内訳を見ると、今回調査時点では、「やや良い」と判断して先は19% にとどまり前回( 29% )より減少した一方、前回皆無であった「悪い」と判断した先が今回調査では 13% に上るなど、全体的に業況判断は下方修正された。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては - 0.19 と、足許の判断 - 0.44 に比べては大きく改善傾向にあり、前回5月調査( - 0.21 )に比べ、概ね横ばい圏内、先行き好転の判断となっている。
 こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続していること、円高が進み輸入仕入コストの低下傾向が安定してきていることなどがあると思われ、販売面でも仕入面でも、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の 25% 前後となっており、前回2月調査時点( 20% )と比べると若干の改善を見ることとなった。一方で、5月調査では「やや悪い」「悪い」と答える企業は 50% であったが、今回調査では 44% にとどまるなど、こちらも改善傾向が窺える。
 会員企業では、「世間で言われているような外国人観光客によるインバウンド消費による増収は全くない」、「株安、円高、震災など消費マインドを取り巻く環境は不透明」という指摘があるなど、販売動向に関しても慎重な見方が多いという基本的な流れは変わらないが、「足許は堅調な売り上げ」、「付加価値の高い国産品など、品質の良い商品が好調な流れは持続している」などプラスの見方も多く、全体としては厳しいとの判断ながら、緩やかな改善が持続している模様。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、すべての企業で「変化なし」と判断している前回調査に比べると、今回調査では 13% の先で「下降した」と判断している。
 大きな流れでは、「チェーンストアを中心に、販売数量の減少をカバーするために上代を一段階上げていく企業もある」「長い間かけて円安による仕入コストアップ分をようやく価格転嫁してくることができている」など、足許までの時期は、販売価格の維持ができている先が大半ながら、「円高の進行と円高水準の安定から、納品価格を下げてくれという先が出ている」など、一部の先では販売価格の下落を指摘する動きもあり、今後の動向に注目する必要があると考えられる。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では 13% の企業が前月に比べて「下降した」、 81% の企業が「変化なし」、 6% の企業が「上昇した」と回答しており、前回5月調査時点とほぼ同じ傾向となっている。
 ここ半年ばかりは、円高の進行による輸入コストダウンなどで、仕入価格は低下方向に動く企業の数が増加していたが、円高水準も概ね1ドル100円~105円程度で安定する中、仕入価格も下げ止まっていると判断する先が多くなっている。一方で、国際綿花市況の上昇などの不安材料もあり、今後の仕入価格に関しては「予断を許さない」と考えて警戒する向きも多く見られているところである。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「適正」と答えた企業が全体の 56% 、「過剰」と答えた先が 37% を占めるなど、概ねどちらかの判断をする先が大半ながら、一部先においては「円安で輸入仕入単価が上昇し最終原価法で在庫金額が著増していたが、このところの販売努力で大きく在庫水準が低下、むしろ不足しつつある」など、在庫回転率が改善していると考える先もでてきているところ。
 もっとも、大きな時系列で見ると、販売形態の多頻度小ロット化、アイテム数の多様化の流れを受け、依然として、在庫回転率が悪く「過剰である」と答える企業が多く、全体としては流通段階でのだぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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