調査報告について / REPORT

平成29年11月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.23と、前回調査( -0.55)に比べ大きく改善する結果となっており、2年前の平成27年11月調査の -0.13 以来の高水準を記録することとなった。
 一方で、先行きに関しては、「小売店頭では上代の引き上げの動きも散見される」などの声を反映する形で「業況判断DI」は -0.23 と、引き続き改善した状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「良い」「やや良い」と判断する企業が15%を占める一方で、「悪い」、「やや悪い」と判断する企業が38%と前回調査(54%)比大きく減少するなど、販売状況に対する判断では、全体的にみると、改善してきているとする見方が増加している印象。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、「下降した」と判断する先がない一方で、6割以上の先で、足許の円安傾向、運賃など経費の上昇を材料に、仕入価格が「上昇した」としており、仕入価格に関しては、安定圏から「上昇モードに入っている」と警戒する向きも多く見られている。
 一方で、販売価格に関しては、「下落した」とする先が7%、「上昇した」とする先が7%と拮抗、一方で8割を越える先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が46%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、前回調査よりは改善しているものの、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、ここ1年の調査結果では、本年2月調査は -0.57、5月調査では -0.62、8月調査においても-0.55と、極めて厳しい判断が持続していたが、今11月調査では「やや良い」と判断する企業数が増加しており、結果 -0.23と大きくDIは改善する結果となった。この水準は平成27年11月に記録した -0.13以来の2年ぶりの高水準となった。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 全体としては、可処分所得の伸び悩みを背景に消費全体が低迷しており、そのトレンドを反映して「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「一部インバウンド需要のみられる化粧品、宝飾品を除いてみると、食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振が持続している傾向に変わりはないものの、一部の先では「小売販売単価を上げていこうという小売店もみられており、徐々に売上高は回復傾向」という前向きな見方も出てきている。
 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、大きな流れでは、この傾向が持続しているといえる。もっとも、百貨店売上全体では4月以降、チェーンストア売上高全体では本年7月以降、前年を上下する横ばい圏内の動きとなってきており、消費全体は復調傾向がみられることから、業況判断も一部先では改善傾向にあるとの認識を示している。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 4月5月6月7月8月9月10月
全国百貨店売上高合計0.701.4-1.424.4-1.8
「その他家庭用品」分野-7.3-6.9-4.8-2.8-3.5-3-9.8
全国チェーンストア売上高合計0.6-1.8-1.20-0.5-0.3-1.9
「住関品 日用雑貨品」分野-0.2-1.4-1.1-0.1-1.9-3.9-7.4
「住関品 家具インテリア」分野-0.50.2-31.84.52.40.1

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.23と、足許の判断に比べて横這い圏内の見方で、前回2月調査(- 0.27)に比べては若干好転する結果となっている。これは、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が38%と前回調査比あまり変化がない中で、先行きが「やや良い」と答える先が23%と増加傾向にあることを反映しており、足許の状況に関しては不透明ながら、先行きについては全体として少し明るい見通しを持っている先が増加していることが窺える。
 こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続するだろうとの予測があると思われ、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先がなかった前回に比べれば、今回調査では7%の先で「良い」に判断を上方修正している。一方で、「やや悪い」「悪い」とする先は38%と前回調査(54%)比大きく減少していることから、全体としては改善傾向が窺われる。
 会員企業では、「今治産地の商品も出回りすぎて少し売行きに陰りがある」などの声も聞かれるところであるが、「世間的な景気回復の流れを受けて店頭では小売価格を引き上げようという動きがみられる先がある」「売上的には単価上昇が後押ししてくれて改善してきている」との意見も広く聞かれてきている。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回同様「下降した」と答える企業がない一方、今回調査では61%の先が「上昇した」と判断しており、前回調査時点(27%)、前々回調査時(15%)に比べ、値上がりを指摘する先が増加している。こうした判断の根底には「一時より進んでいる円安基調による輸入コストアップ」や、「国内タオル製造での加工費アップ」、「運賃などの物流費アップ」をその原因として指摘する声がきかれる。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、今回調査では7%の先が「上昇した」と判断しており、また、同様に7%の先が「下降した」と答えている。一方で、「変化なし」と答える先は86%に上っており、「全体としてはあまり変化がみられない」とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においては、「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 54% 、「過剰」と答えた先が 46%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が多くなっている。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は減っている(前回調査では64%)が、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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