調査報告について / REPORT

2021 年11月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 8月からの消費動向は、緊急事態宣言下で夏場の記録的な多雨の影響もあり一旦落ち込んだ後、9月中旬ごろからの感染者数の減少とともに一部で回復傾向にあった中で、10月から緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は解除されたものの、アンケート対象のタオル流通会員企業の今回調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足元 -1.30 と、2ヵ月連続で改善していた前回8月調査( -1.21 )から下降に転じ、厳しい水準となっている。
 一方、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.80 と、新型コロナ新規感染者数が劇的に減少し、緊急事態宣言の解除がなされた状態で、未だ一部で制限はあるものの、人出が戻りつつあり、景気浮揚効果への期待感が増していることを背景に、前回調査(-0.93)に比べて好転する結果となった。
 こうした環境の中、販売動向に関しては、70%の先が「やや悪い」「悪い」と回答しており、前回調査に比べると一定の改善の傾向が見られるものの、11月末に新型コロナウイルスのオミクロン株が国内で確認され、その後も絶対数は少ないものの、市中感染者が確認されるなど余談を許さない状況で、足元の「販売状態は依然として非常に厳しい水準である」状態。
 また、仕入価格の上下を問う質問では すべての先で「上昇した」と回答しており、前月(64%)に比べて大幅に増加。綿花価格の高騰、円安、コンテナ不足による輸入コストの上昇が顕在化し、先行きについては非常に懸念される状況となっている。
 前月に比べて販売価格の上下を問う質問では、60% の先で「上昇した」と回答しており価格転嫁を急ぐ動きがみられるが、先行き不透明な中で値上げに慎重な側面も見られ、今後の収益の悪化が気になるところである。
 この間、在庫水準の評価は60%が「過剰」と答えており、前回、前々回に比べると「過剰」と回答する先が増加している。一旦、在庫調整が進んだものの、再び増加に転じており、需要の低迷だけでなく、仕入れ価格の上昇に伴う早期引き取り、海外からのコンテナ船遅延に対応するため在庫を積み増していることも考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 今回調査の業況判断は -1.30 との結果。春先のコロナ禍における緊急事態宣言下に2021年2月調査( -1.31 )、5月調査(-1.26)、8月調査(-1.20)と改善傾向にあったものが、全国的な緊急事態宣言の発令の影響が出たためか下降することになった。
 デルタ株ウイルスによる感染増加で新規患者数が急速に増え、7月上旬に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発出されることとなってしまい、消費マインドは、ふたたび生活防衛意識の高まりから低調な推移をたどり、宣言、措置が解除に至ってもなかなか苦境から抜け出せないのが実情である。今回調査の判断では、前回同様、すべての先で「悪い」「やや悪い」とネガティブな判断をしており、前回よりも状況の深刻さが増していることも特徴。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足元の推移をみると、8月はそれまでの新規感染者数の急増とともにブレーキがかかり、記録的な多雨の影響もあり、新規感染者数が増加傾向にあった6月以来の前年同月比マイナスの結果となった。10月から緊急事態宣言が解除され足元は回復傾向がうかがえる。
 チェーンストア売上高は、巣ごもり需要を反映して食料品を中心に堅調な販売地合いを続けていたが、8月は天候不順の影響を受け百貨店同様にマイナスとなったが、9、10月は若干持ち直しており、住居関連商品である日用雑貨品については全体以上の伸びとなっているが、一方で家具、インテリア商品については下げ止まったままとなっている。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
全国百貨店売上高合計 21.8 167.0 65.2 -1.6 4.2 -11.7 -4.3 2.9
「その他家庭用品」分野 26.6 135.5 46.9 -6.3 -2.7 -20.7 -15.1 -3.1
全国チェーンストア売上高合計 1.3 6.0 2.9 1.7 4.6 -0.1 3.2 3.7
「住関品 日用雑貨品」分野 0.2 12.3 1.6 18.4 7.3 -2.2 3.6 2.2
「住関品 家具インテリア」分野 3.2 3.6 -0.1 -2.2 -11.5 -10.3 -8.4 -9.9

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 3か月先の業況に関する判断DIについては、緊急事態宣言が解除され、年内にも経口薬が認可される見込みと伝わり、-0.80と足許の判断( -1.30)に比べ高い水準にあるなど、先行きに関しては明るい兆しがみえると判断する先が多かった。
 しかし、未だ8割の先が「悪い」「やや悪い」と判断する結果となっており、11月末にオミクロン株が日本で初めて確認され、その後も絶対数は少ないものの国内感染者数が増えており、まだまだ予断を許さない厳しい判断水準となっている。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 販売動向に関する状況をみると、全体の 70% の先がやや悪い、悪いと悪い方向に判断しており、販売状況は依然、回復には程遠いという印象である。チェーンストア売上など一部では堅調な状況もみられるものの、特に百貨店売上の落ち込みは激しく、消費全体としては極めて厳しい水準にあると判断されている。
 デルタ株のまん延による、所謂「第5波」に対応するため、首都圏、関西圏、中部圏を中心に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置も全国的に広く発出。百貨店、大型小売店の土日臨時休業や営業時間の縮小、イベント等の観客数の制限、飲食店での酒類提供の禁止などで、全国的に人流が抑制され、8月の消費動向をみても一気に消費マインドを冷やす結果となったが、9月中旬から感染者数が目に見えて減少、10月からは宣言が解除され、行動制限がかなり緩和されており、消費が上向くことを期待されていたが、11月末に国内でオミクロン株が確認され、今後の感染者数の推移によっては、回復傾向にあった消費マインドをまたも冷やすことになりはしないか懸念されるところである。

 前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、すべて の先で「上昇した」としており、仕入価格は確実に上昇している模様。原料綿花の価格が非常に高い水準で推移しているほか、為替相場も円安傾向にあり、輸入コストの上昇で輸入綿糸、商品が値上がりしているものと推察される。
 また、販売価格の変化を問う質問においては、60% の先で「上昇した」と回答しているものの、「変化なし」、一部で「下降した」としており、全体的には、仕入れ価格は上昇基調であるが、需要低迷を背景に、すぐ販売価格に転嫁しにくい状況になっていると思われる。

Q.在庫動向に関する質問
 今回11月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の60% と、前回8月調査( 50% )、前々回5月調査( 53% )に比べると昨年からの在庫調整の流れからは若干、過剰感が出ている。仕入れ価格の上昇に伴う早期引き取り、海外からのコンテナ船遅延に対応するため在庫を積み増していることも考えられる。タオルの主要輸入相手国の中国が1月下旬から2月上旬にかけて正月にあたる春節があり、2月上旬から下旬にかけて北京冬季オリンピックが開催され、工場の操業への影響、コンテナ物流のさらなる混乱が起きる可能性があり、今後の在庫動向への影響が懸念される。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

気持ちよくタオルをお使いいただく為に

ページトップへ