調査報告について / REPORT
2022年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース
前回2月からの消費動向は、新型コロナ感染者数の減少が続き、3月21日でまん延防止等重点措置が全面解除になったことで、外出機会の増加に伴う消費マインドの回復が見られる。今年は行動制限のないGWとなったことや、気温の上昇に伴い行楽需要が増加した。加えて高額品がリベンジ消費、円安や原材料高騰などによる価格引き上げ前の駆け込み需要で増勢基調にあった。一方でアンケート対象のタオル流通会員企業の今回調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足元 -1.18 と前回調査よりも若干悪化している。
また、三ヶ月先の「業況判断DI」も-1.09とほとんど改善は見込んでおらず、前回調査よりも悪い判断となった。
こうした環境の中、販売動向に関しては、82%の先が「やや悪い」「悪い」と回答しており、前回調査と横ばい。足元の「販売状況は依然として非常に厳しい水準である」状態。
また、仕入価格の上下を問う質問では すべての先で前回に引き続き「上昇した」と回答しており、綿花価格の高騰、急激な円安、輸入コストの高止まりで、引き続き仕入コストが上昇しているものと思われ、先行きについても非常に懸念される状況となっている。
前月に比べて販売価格の上下を問う質問では、64% の先で「上昇した」と回答しており、引き続き価格転嫁の動きがみられるものの、未だ37%近くが「変化なし」と回答しており、価格転嫁が未だ進んでいない側面もみられ、現在の状態が続くとさらに収益の悪化が懸念される。
この間、在庫水準の評価は45%が「適正」と答えており、前回の36%と比べ改善傾向が見られる。
Q. 業況判断に関する質問
今回調査の業況判断は -1.18 との結果。2021年11月調査(-1.3)から22年2月月調査(-1.0)と新型コロナ感染者数の減少が続いたことにより、ようやく改善の兆しが見られたが、急激に円安が進んだことにより、平時の販売がしにくい状況となり、消費マインドの回復に水をさされた状態。新型コロナが落ち着いたものの、資源、原材料の高騰、急激な円安、ウクライナ情勢は混とんとし、中国のロックダウンもあり、食料を含む生活必需品が値上げを余儀なくされており、生活防衛意識の高まりが懸念され、今後の消費マインドの動向が注視される。今回調査の判断では、前回は「どちらともいえない」が27%から18%に、「悪い」27%から36%になり、また、2021年8月から「良い」「やや良い」の判断の0%が続いており、引き続き非常に厳しい状態である。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。
この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足元の推移をみると、3月下旬にまん延防止等重点措置が全面的に解除されたことにより、外出機会の増加に伴う消費マインドの回復が見られ、高額品がリベンジ消費、円安や原材料高騰などによる価格引き上げ前の駆け込み需要で増勢基調にあったことで大きな伸長となった。
特に今年は行動制限のないGWとなったことで、物産展やファミリーイベントが開催されたことや、気温の上昇に伴った行楽需要も全体を押し上げた。
チェーンストア売上高は、外出需要の増加が増加する一方、家ナカ需要が一段落し、食料品の動きは鈍かったものの、住関品は行楽需要などの動きがよかったことから前年比プラスとなった反面、家具、インテリア商品については未だ改善には至っていない。
▼全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移
|
前年同期比伸び率%、店舗数調整後 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
全国百貨店売上高合計 |
-4.3 |
2.9 |
8.1 |
8.8 |
15.6 |
-0.7 |
4.6 |
19.0 |
57.8 |
「その他家庭用品」分野 |
-15.1 |
-3.1 |
6.7 |
0.9 |
4.0 |
-13.8 |
-4.6 |
4.2 |
43.5 |
全国チェーンストア売上高合計 |
3.2 |
3.7 |
2.8 |
1.7 |
4.0 |
6.1 |
1.9 |
2.1 |
0.9 |
「住関品 日用雑貨品」分野 |
3.6 |
2.2 |
1.3 |
5.5 |
10.9 |
7.1 |
15.6 |
14.8 |
15.8 |
「住関品 家具インテリア」分野 |
-8.4 |
-9.9 |
-5.5 |
-7.6 |
-0.1 |
-1.3 |
-2.0 |
0.1 |
-3.0 |
(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による
3か月先の業況に関する判断DIについては、-1.09と足許の判断( -1.18)と横ばいの動きになり、前回に比べ「悪い」の回答が増え、悲観的な判断となった。新型コロナ感染者数が低水準となり、行動制限が解除に向かっているものの、コストアップの原因となる情勢の不安定さもあり、利益面での先行きを不安視しているように思われる。
Q.販売、仕入動向に関する質問
販売動向に関する状況をみると、一部で「やや良い」の判断が出たものの、未だ前回と同じく全体の 82% の先が「やや悪い」、「悪い」と悪い方向に判断しており、販売状況は依然、回復には程遠いという印象である。百貨店、チェーンストア売上でタオルの属するカテゴリーでは好調な動きもみられるものの、実感としては乏しく、まだまだ非常に厳しい水準にあると判断している。
動向の判断が新型コロナからコストアップ、生活防衛意識の懸念へと移りつつあり、数字から見る市況全体との乖離が見られ、不安定要素が多いことから今後の動向が注視されるところである。
前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、すべて の先で「上昇した」としており、仕入価格は引き続き上昇している模様。綿花の価格が非常に高い水準で推移しているほか、急激な円安、輸入コストも高止まりしており、どの項目も短期での解消が難しいことから、引き続き上昇傾向は変わらないものと思われる。
また、販売価格の変化を問う質問においては、55% の先で「上昇した」と回答しているものの、すべての先で仕入価格が上昇しているにもかかわらず、その他ほとんどが「変化なし」としており、全体的には、仕入価格は確実に上がっているものの、需要低迷、競争激化の懸念から、価格転嫁がしにくい状況が続いているものと思われる。
Q.在庫動向に関する質問
今回5月調査では、在庫が「適正」と判断する先は全体の45% と、前回11月調査 36%、と比べ増加。仕入価格の上昇と販売動向の不透明さから在庫を絞る傾向もあるように見受けられ、適正と判断している可能性がある。
以上
なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
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